スターリングエンジン
スターリングエンジンの歴史
スターリングエンジンは、1816年スコットランドの牧師であり発明家であったロバートスターリングが考案した、空気エンジンが原型とされています。その後、夢のエンジンと言われながら色々な改良がなされ今日に至っていますが、一般の自動車や船舶のエンジンのように普及していませんでした。
ロバートスターリングが発明したエンジン
理由は、
①同じ出力を得る場合に、重量が大きくなる
②即応性(制御性)に劣る などが挙げられてきました。
一方、内燃機関に比べ優れた長所もあります。
①外燃機関であり、燃料を選ばない(マルチフューエル)
②安全性が高い
③構造がシンプルなため、メンテナンスが容易(メンテナンスフリー)
このような理由からロバートスターリングの発明から200年を経た現在、優れた特長を有する実用機が誕生しています。
スターリングエンジンの種類
スターリングエンジンは、構造から大別して機械式リンク機構を有する、キネマチック(Kinematic)エンジンと機械式リンク機構を持たないフリーピストン(Free Piston)エンジン、さらにはピストンそものもを持たない、熱音響エンジン(サーモアコースティックエンジン)とがあります。
キネマティックエンジンは、一般の内燃機関のようにピストンを機械式リンク機構で結合させて作動するタイプで、高出力化が容易ですがエンジン摺動部に潤滑油が必要であり、保守メンテナンスが不可欠となります。
キネマティックエンジンの例
一方、フリーピストン式スターリングエンジンは、特殊なスプリングで結合されたディスプレーサーとパワーピストンがシリンダ内を往復運動するものの、摺動部位が無いため、摩擦による損耗がありません。このためメンテナンスフリーのエンジンが構成できます。
フリーピストン式スターリングエンジンとして実用化されたもので最も高出力なエンジンは、Qnergy社製7kWエンジン(PCK80)でしょう。
Qnergy社製フリーピストン式スターリングエンジン (7kW)
フリーピストン式スターリングエンジンの動作は次の通りです。
熱音響エンジンは、往復運動するピストン自体が無く、作動気体の圧縮と膨張という「音響」の効果でエンジンが作動するものです。
すでに実用機ではありませんが、1kWの出力を得るサーモアコースティックエンジンが開発された例があります。